HOME > 学会長Blog

学会長Blog

2008年02月26日

会長講演 水谷和則(私)の抄録

今日は私の抄録(会長講演)です。

演者  水谷和則
所属  銀座みゆき通り美容外科
演題  オーダーメイドプロテーゼの重要性について

抄録

インプラントによる隆鼻術や下顎整容術を行う場合、加工済みのシリコンプロテーゼを何種類か在庫して、そのいずれかをそのまま、あるいは勘で削って調整し挿入する術者が少なくないと思われるが、それがどのように埋入したのか内部の状態(埋入位置や骨格とのフィッティングなど)を確認したことがあるだろうか。プロテーゼ挿入術の結果判断は内部の状態ではなく、皮膚軟部組織に覆われた外観で評価することは言うまでもないが、外観がおおよそ問題なければ、プロテーゼの埋入状態は無視しても良いのだろうか。またプロテーゼの形や埋入状態が適切でない場合、それが外観にどのような影響を及ぼすのかを考慮して手術に臨んでいるだろうか。
人の顔は千差万別、顔の骨格としての頭蓋骨や軟骨部分の輪郭もすべて個々人固有のものである。また骨格は皮膚軟部組織で覆われているので、外観から正確にその輪郭を把握するのは困難である。それゆえ私は約10年前より鼻や下顎のプロテーゼ挿入術を行う際、手術前後に頭部側面のX線撮影を行っている。設定条件により頭蓋骨や皮膚軟部組織、プロテーゼの輪郭を1枚のX線写真に写し込むことができ、術前計画と術後評価を行う際に有用であるが、既にプロテーゼが挿入された状態で来院した症例を撮影すると様々な問題点を発見することが珍しくない。例えばプロテーゼの裏面が鼻骨にフィットせずブリッジあるいは浮遊状態、プロテーゼの輪郭が浮き出るほどの浅い皮下挿入、断端が皮下に突出、L型の角と鼻尖の不一致、鼻翼軟骨間への沈み込み、鼻尖部皮膚の非薄化、プロテーゼによる不自然な高さの鼻根部やpolly beak、下顎においては下顎下端より上方でのプロテーゼ埋入、骨吸収など枚挙にいとまがない。
こうした観点から、異物であるプロテーゼを安全かつ的確に挿入し、患者の希望する鼻や下顎に形成するために重要なことは、プロテーゼ裏面が鼻や下顎の骨格(骨、軟骨)にジャストフィットする形であり、挿入手術後の鼻や下顎の形態が自然かつ患者の希望に沿うように厚みや太さ、辺縁断端部を緻密に作成することであると考え、X線撮影を元にプロテーゼを個別にデザインし、シリコンブロックから作成している。また鼻の場合、将来的に鼻尖に変化が生じる恐れがないI型(ボート型)を主体とし、必要に応じて鼻尖形成や軟骨移植、鼻中隔延長などを組み合わせて鼻尖の形態や位置を調節している。手術に際しては、鼻骨骨膜下に過不足無いポケットを作成するのは当然として、外側鼻軟骨や鼻翼軟骨レベルにおいても軟骨直上の層で正中を剥離しプロテーゼを挿入している。下顎ではプロテーゼ挿入予定位置の上端付近より骨膜下に進入して下顎骨下端を越えるまで直視下に剥離し、プロテーゼ裏面を下顎骨下端の形状に適合させ上方移動しないように挿入している。
正確に形成したプロテーゼを予定位置に挿入した場合、プロテーゼは挿入直後から鼻や下顎の骨格に貼り付くようにフィットしてほとんどずれ動くことがないので、テーピングなどの術後固定は、プロテーゼ移動の予防ではなく、患部の安静目的で行っている。
本講演では、X線画像による症例検討とプロテーゼのデザインや作成法、基本手術手技や修正手術などについて述べる。

この記事に対するコメント一覧

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)