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2008年02月 アーカイブ

特別講演 高須克弥先生の抄録

演題抄録が徐々に学会事務局に提出されてきております。
3月下旬ごろには抄録集・学会プログラムとして印刷したものをお手元にお届けいたしますが、その前に、ブログで主なものをご紹介させていただきます。
本日は、特別講演をお願いしております、高須克弥先生の抄録です。


演者  高須克弥 
所属  高須クリニック
演題名 糸を使った顔面若返り手術の歴史

抄録本文

顔面に切開を加えずに若返らせるのは医師と患者双方にとってメリットのある方法です。実はこの方法は20年以上前から行われています。そして、現在、先人達の試行錯誤の結果やっと脚光を浴びようとしています。先人達を紹介し、あわせて現在進化しつつある糸を使った若返り手術についても紹介します。

・Dr. Jean-Claude Clavier (フランス) と Dr. Pierre Fournier (フランス)による皮下埋め込みナイロンステッチ―カールリフト

・Dr. Claude Lassus (フランス)によるゴアテックス埋め込み

・Dr. Andre Franco Velasco (スペイン)と Dr. Arnold Adamian (ロシア)による金の糸埋め込み

・Dr. Marlen Sulamanidze (ロシア)による抗下垂ポリプロピレン糸
(APTOS & Spring APTOS)埋め込み

・Dr. Jose Beramendi (ブラジル)による強力な抗下垂ポリプロピレン糸
(Fio Lift)埋め込み

・Dr. Ciro Accardo (イタリア)による吸収糸(Happy Lift)埋め込み


Facial rejuvenation without incision is advantageous to both patients and surgeons. In fact, this minimally invasive method has been preformed for more than 20 years. As a result of our predecessors' trials, errors and more efforts, the minimally invasive rejuvenation technique is finally spotlighted in cosmetic surgery. In this presentation, some of our distinctive predecessors and their techniques will be introduced, and at the same time, today's advancing thread techniques will also be discussed.

The minimally invasive rejuvenation procedures include

—Subcutaneously Applied Nylon Thread Stitch, Curl Lift by Jean-Claude Clavier (France) and by Pierre Fournier (France)

— Gore-tex Implant by Claude Lassus (France)

— Golden Thread Implant by Andre Franco Velasco (Spain) and by Arnold Adamian (Russia)

— Anti-ptotic Polypropylene Thread Implant, APTOS by Marlen Sulamanidze (Russia) and Fio Lift by Jose Beramendi (Brazil)

— Re-absorbable Lifting Thread Implant, Happy Lift by Ciro Accardo (Italy)

鼻形成術の教育講演 菅原康志先生の抄録

今日は自治医科大学形成外科教授の菅原先生の抄録です。
菅原先生には、鼻形成術の教育講演をお願いしています。


演者  菅原康志
所属  自治医科大学形成外科・美容外科
演題名 整鼻術に必要な鼻の解剖とサージカルアプローチ

抄録

手術における解剖の重要性については言うまでもないが、鼻の美容外科手術では骨・軟骨・軟部組織といった解剖学的特徴が、どのような形態的表現になっているのかを理解する必要がある。またどのような手術操作が、どういった形態的変化を生じさせるかについても、把握しておく必要がある。
鼻の形態は、upper third, middle third, lower thirdの3つのバートに分けると、ストラテジーを含めたアプローチの立場から解剖学的特徴の理解が容易になる。
Upper thirdは、前頭骨と鼻骨によって形態が決められているため、骨への操作や組織移植により形態を変化させる。Middle thirdは、鼻骨の下端と上外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨から形成される。ここでも骨、軟骨への操作や組織移植により形態を変化させる。
Lower thirdは、下外側鼻軟骨(鼻翼軟骨)、鼻中隔からなり、ほとんどの場合は軟骨への操作や組織移植により形態を変化させる。鼻翼のみが軟部組織だけへの操作による。
また、これらの鼻自体の構造を形成する要素以外に、顔面の中での鼻の突出度などを決定する上顎骨、頬骨との位置関係や、鼻筋や上口唇挙筋などの顔面表情筋なども、鼻の形態や印象に影響を与える。
形態を変化させるためのアプローチとしては、各種材料による移植、骨切り、軟骨への操作などがあるが、それぞれの効果の程度と意義について理解する必要がある。
以上について、死体解剖、臨床例を交えて述べる。

フェイスリフトの教育講演 与座先生の抄録

今日は百人町アルファクリニック院長の与座先生の抄録です。
与座先生には、フェイスリフトの教育講演をお願いしています。


演者  与座 聡
所属  百人町アルファクリニック
演題名 Retaining ligamentを用いたフェイスリフトの展望

抄録

【目的】フェイスリフトの難しさは頬・頚部と中顔面で牽引のアプローチが異なることと、当初良好な結果であっても1年の経過で元に戻る症例が多い事である。1989年Furnasの報告から始まったRetaining ligamentの概念はSMAS、顔面脂肪の固定について新たな見解を提供してくれた。今回、上記の課題に対して従来のフェイスリフトに2つの術式を加味し、1年から最長5年の変化を述べる。
【方法と結果】SMAS下での剥離は従来のdeep-plane rhytidectomyに準ずる。但し、Retaining ligamentの処理を2つの目的で行う。1つはSMAS liftの可動性を高める為の十分な切離であり、もうつはSMAS liftの補強としての牽引固定である。中顔面での最大の目的はMalar fat のrepositionとなるが、Zygomatic ligamentでは十分な挙上が出来ないため、側頭筋膜を弁状に挙上しligamentsの代わりとして用いる。これらの方法で行った症例は従来の術式に比べて1年経過後の後戻りが少なく、効果が持続していると判断した。特に後戻りの著しい高齢者でのフェイスリフトや、改善しづらいしゃくれ顔のリフトにおいても良好な結果が得られた。
【考察】SMAS下におけるligamentsでの引き寄せは未だ一般的に確定した手技ではないが、一度頬部中央でたるみが改善されるので持続性が高まると考えられる。演者は切離したBuccal-maxillary ligaments の天井部とMasseteric-cutaneous ligamentsの底部 を4-5箇所で引き寄せ固定しているが、十分な強さがあり牽引の方向性も比較的細かく設定出来る。側頭筋固有筋膜でのSOOFを含めたMalar fatの大頬骨筋上での剥離と引き上げは鼻唇溝部におけるたるみの改善に十分な固定力を持ち、固定部に皮膚のdimpleを作らない。

上眼瞼形成術のパネルディスカッション 保志名先生の抄録

今日はノエル銀座クリニック院長の保志名先生の抄録です。
保志名先生には、上眼瞼形成術のパネリストをお願いしています。


演者  保志名勝
所属  ノエル銀座クリニック
演題名 二重瞼の術式による美的考察、及び二重瞼切開法の修正手術
     The Aesthetic Consideration of Techniques of Double Eyelid and,
     The Technique That Corrects Double Eyelid by Incision Method.

抄録

これまでに二重瞼の手術に関しては埋没法、切開法、除皺術含めて、その手術方法は多く研究されてきて、今更論じる必要もないほどである。
しかし、我々は美容外科医であり、手術方法論を追求するだけではなく、いかに患者の容貌にあった美しい二重をつくるか、そして患者の要求にこたえるラインを追求していくかが大切である。
一般的な東洋人のような平行型の二重ではなく、欧米人のような内側が角張った平行型ラインのつくり方、及び、切開法の術式の違いによる二重瞼ラインの美的考察を紹介する。また、切開法による二重瞼を一重にもどす修正手術はさまざまな方法があるが、眼窩脂肪を利用して、あるいは眼窩脂肪が欠損している場合の眼窩中隔を下方にひきこみ、瞼板前組織に縫合する術式及び、埋没法を一重に戻すのに術後短期間で埋没法糸を抜糸しても二重瞼のくせが消失しない場合の癒着の除去の方法を、動画を交えて紹介する。


We introduce the method of parallel type of double eye lid line not as general oriental but as westerners with the inside of line is square-built and, the aesthetic consideration of double eye lid line by the difference of incision methods. Moreover, as for the correcting operation to return a double eyelid by the incision method to no fold, there are various methods. However, we introduce, with the animation, the method with which using orbital fat, or when orbital fat is defect, pulling the orbital septum downward and suture with pretarsal tissue.

美容外科領域の再生医療のパネルディスカッション 山田先生の抄録

今日は名古屋大学医学部附属病院遺伝子再生医療センターの山田先生の抄録です。
山田先生には、美容外科領域の再生医療のパネリストをお願いしています。


演者  山田陽一
所属  名古屋大学医学部附属病院遺伝子再生医療センター 
演題名 顎顔面再生医療の美容への応用 

抄録

年齢を経るにしたがって、しわが増え、髪の毛は白くなり、歯が抜ける。今日の日本では50歳以上のエルダ-世代の人達が成人人口の50%以上を占める。いわゆる団塊世代以上のひとたちで、このような急速な高齢化が進む現在、豊かな老後をおくるためにも、アンチエイジング医療、とりわけ加齢とともに失うことが多くなる歯周組織、歯槽骨、歯などに対する組織再生療法に加えて、より美しく、自信を持って生活していくために、審美、美容を実践していくことは必修である。今回、顎顔面領域における口腔機能の改善に向けて、注入型による細胞を用いた再生医療の応用例に加え、審美的改善、顔面のしわ改善などに対する応用についても概説する。この再生医療は、未分化(言い換えれば若い)細胞である「幹細胞」を分離、増殖させ、再び生体にもどすことで、治癒能力を人工的に高め、組織再生を図るものである。この幹細胞は高齢になっても存在し、生体外で増やすことが容易にできるのである。欠損した組織や機能不全部分に移植することで、一種の胎児環境が出現し、“若い”細胞による組織修復や、通常の大人の体では起こらない再生現象を見ることができる。再生医療は3要素、「幹細胞」「生理活性物質」「足場」により組織構築するという概念である。われわれは幹細胞に、骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)を、生理活性物質、足場には自己血から調整した多血小板血漿(PRP)を応用し、ゲル化、注入型とすることにより、操作性、賦形性を付加し、複雑な形態に対しても応用可能とした。この技術は口腔領域だけではなく、整形外科、形成外科領域においても汎用性が高い技術と考えられる。また、保存(バンク)細胞を使うことで何度も利用可能である。本発表においては、臨床応用の実際のプロトコルから、臨床結果を長期予後も含めて紹介し、再生医療の有用性を示す。

上眼瞼形成術のパネルディスカッション 高橋範夫先生の抄録

今日は埼玉医科大学形成外科の高橋範夫先生の抄録です。
高橋範夫先生には、上眼瞼形成術のパネリストをお願いしています。


演者  高橋範夫
所属  埼玉医科大学形成外科
演題名 加齢性眼瞼下垂に対する持続効果の高い術式の工夫

抄録

【目的】加齢性眼瞼下垂は視野の狭小、代償性前頭筋収縮による頭痛、眼精疲労などの不定愁訴、皮膚弛緩による老人性顔貌を伴い、合併するsunken eyeは東洋人では特に老けた印象を与える。加齢性眼瞼下垂に対する術式は、挙筋腱膜前転法、筋膜移植法、除皺に対しては前額リフトを行う法や眉毛下切開部切除を行う法などが報告されている。今回我々はさらに眼輪筋弁の充填、固定を行い、より良好な結果が得られたのでここに報告する。
【方法】術式は局所麻酔下で眉毛下端に沿って皮膚切開を行い皮下、眼輪筋上を剥離する。その後眼輪筋下、ROOF上を剥離し眼輪筋弁を挙上し眼窩上縁骨膜に固定する。Sunken eyeが著明な場合では余剰眼輪筋弁は切除せず、plicationを行い充填する。その結果生じた余剰皮膚を切離する。さらに瞼縁側で挙筋腱膜前転法を行う。本術式にて6ヶ月以上経過した患者18例を対象に評価を行った。
【結果】全例で瞼裂、自覚的視野の拡大がみられた。前頭筋による代償負荷が軽減され、前額の皺の改善もみられた。Sunken eyeが著明な例では改善がみられた。しかし、切除不足による上眼瞼余剰皮膚残存例もみられた。眉毛下切開の瘢痕は1~2ヶ月頃よりかなり目立たなくなった。また6ヶ月以上経過した時点での再発例や眉毛下垂はみられなかった。
【考察】皮膚弛緩の強い加齢性眼瞼下垂に対し眼輪筋弁を前頭骨膜に固定することで、最小の前頭筋による代償負荷にて瞼裂の拡大が得られる。また皮膚弛緩の再発防止、前額部の皺形成防止になり美容的にも有効である。さらに前頭筋収縮は頭痛、眼精疲労など不定愁訴の原因なので、それらにも有効である。Sunken eyeの強い場合はその部に眼輪筋弁を充填することで、長期持続的な整容的改善が可能であった。以上の点より本法は加齢性眼瞼下垂に対する術式として持続効果が高いと思われる。

美容外科領域の再生医療のパネルディスカッション 鎌倉先生の抄録

今日は聖心美容外科統括院長の鎌倉達郎先生の抄録です。
鎌倉先生には、美容外科領域の再生医療のパネリストをお願いしています。


演者  鎌倉達郎
所属  聖心美容外科
演題名 自家脂肪組織由来幹細胞移植を用いた豊胸術 

抄録

【はじめに】現在、豊胸術として行なわれている方法の主流はインプラントを用いた方法である。生着率の低さや術後合併症などから自家脂肪を用いた注入法は敬遠され、カプセル拘縮などの異物反応の可能性を容認する形でインプラントを用いた方法が受け入れられている。一方、2001年に皮下脂肪組織に多くの多機能型幹細胞が存在することが報告されて以来、様々な医療分野において自己脂肪組織由来幹細胞を用いた臨床研究が急速に進められている。
【目的】自己脂肪組織由来幹細胞を用いた豊胸術の臨床応用の有用性について検討した。
【方法】本法では、注入用脂肪と同量の脂肪を幹細胞抽出用として用いる。脂肪採取は専用のシリンジを用いて採取し、脂肪組織量を計測する。注入用脂肪の洗浄および脂肪からの幹細胞抽出の工程は米Cytori社製CelutionTM Systemを用いて行われる。洗浄した脂肪と濃縮幹細胞液を混和した後、専用のシリンジに注入用カニューラを装着し、Multiple Injection Techniqueを用いて少量ずつ分注する。
【結果】現在、本法を用いた臨床応用は継続中であるが、短期的な結果として、術後早期より移植した乳房のテクスチャーは非常に柔らかく、また乳房増大の程度や生着率に関しても良好な感触を得ている。
【考察】本法の評価には、引き続き長期的なフォローが必要であり、また幹細胞の回収率等改善の余地が残されているが、再生医療を美容医療の領域に導入する傾向は今後益々盛んになっていくことが予想される。この際、確実なエビデンスに準じた治療体系のもと、実践されていくことが重要である。

上眼瞼形成術のパネルディスカッション 水野先生の抄録

今日はアネシス美容外科院長の水野力先生の抄録です。
水野先生には、上眼瞼形成術のパネリストをお願いしています。


演者  水野力
所属  アネシス美容外科
演題名 私の二重まぶたデザインについて

抄録

目的:二重まぶた手術においては、そのデザインが重要である。今回、二重まぶたデザインについて自分なりに工夫している方法を発表する。
方法:術前のデザインに際して従来から行われている方法は、患者に鏡を持たせ上眼瞼の浅い自然なラインがある高さ付近を涙管ブジーで押さえて開瞼させ希望する二重まぶたになっているか否かシミュレーションする方法である。著者は従来法を発展させ、数年前から眼科用の細隙灯顕微鏡の台座と小型デジタルカメラとを利用して、シミュレーション結果をパソコンに取り込み液晶ディスプレイ上に画像を提示するようにしている。また重瞼ラインの固定法について、眼瞼下垂術での挙筋腱膜固定法をヒントにして3点固定を行っている。その3点のデザインは、内眼角から15㎜の点を中央点としている。中央点は瞳孔中心線上ないしやや外側に位置することになる。中央点から内側および外側に7㎜の位置に内側点および外側点を設定している。それぞれ角膜内縁と外縁に接した垂線に近い。
結果:従来法が患者の記憶に頼るのに比べて、この方法は画像を記録することできるので手術誘導への動機づけや、術後結果のトラブル防止に役立つ。また顎と前額部が固定されるので、眉の挙上や上下方視により重瞼幅が影響されることがなく、撮影条件が一定となる長所がある。左右差の有無も一目瞭然である。埋没法および切開法の手術では、3点の固定位置を決定することで自然で美しい重瞼ラインが作成されている。
考察:現在では細隙灯顕微鏡の台座と小型デジタルカメラを利用したシミュレーション法は、患者とのカウンセリングになくてはならない必須アイテムになっている。また3点の固定位置は手術での重瞼ライン決定に有用である。

美容外科領域の再生医療のパネルディスカッション 松田先生の抄録

今日は久保田潤一郎クリニック副院長の松田秀則先生の抄録です。
松田先生には、美容外科領域の再生医療のパネリストをお願いしています。


演者  松田秀則
所属  久保田潤一郎クリニック
演題名 自己多血小板血漿注入による顔面老化皮膚再生の可能性

抄録

(目的)
自己多血小板血漿(以下PRPと略す)には、様々な成長因子が含まれており、主に歯科でのインプラント接着向上や骨移植の際に使用されている。 最近、皮膚科形成外科領域においても創傷治癒促進目的あるいはフェイスリフトの止血目的で使用され効果をあげている。われわれは、PRPを再生医療の一手法として皮膚への注入に応用し、顔面老化皮膚の若返り治療を積極的に行っている。本学会では、PRP注入の効果の検討とこれまで分かってきた問題点・疑問点および今後の課題について報告するとともに併用療法についても報告する。
(方法)
顔面のしわ、たるみ治療目的にて当院を受診した患者に対して、Regen社製PRP作製キットで作製したPRPを顔面全体の皮膚に満遍なく注入した。また併用療法としては、ビタミンCイオン導入法やLED照射を行った。結果は患者への経過の問診と写真撮影を行い検討した。
(結果)全症例で、施術直後に注入部位に腫れ・発赤を認めた。症例によっては、注入部位に軽度の内出血が認められた。しかし、発赤は1時間程度で改善。腫れは2日~3日で改善。内出血は5日~7日で改善した。また、注入部位に一致してごわつき感が認められた。患者への経過の問診では、たるみの改善よりもしわの改善の実感が強いようであった。また、全症例で皮膚の柔らかさが増すとともに顔面全体に皮膚の張りが出たという印象であった。写真撮影による検討では、しわ、たるみの改善は、2週間目で若干確認できた。これらは1ヵ月、3ヵ月と経時的に改善する傾向にあり、1年後の経過でもある程度保たれていた。また他の治療を併用することによって効果の持続期間が延びる印象であった。
(結論)PRPの顔面老化皮膚への注入によって、しわ、たるみの改善が可能であった。今後さらに治療方法を改良し、その回復機序についても解明していく予定である。

鼻形成術の教育講演 福田先生の抄録

今日はヴェリテクリニック銀座院院長の福田慶三先生の抄録です。
福田先生には、鼻形成術の教育講演をお願いしています。


演者  福田慶三
所属  ヴェリテクリニック銀座院
演題名 上端と下端の位置を考慮した隆鼻術

抄録

隆鼻術の目的は鼻背を高くして鼻筋を通すことである。自然で美しい鼻の輪郭を作るためには、隆鼻の上端(鼻根部)と下端(鼻尖)のそれぞれに対して、前方への突出(projection)と上下の位置を考慮しなければならない。
隆鼻の下端をどこまでにするのかは鼻尖のprojectionが十分かどうかで判断する。鼻背と鼻尖の両者のaugmentationが必要な症例にはL型のシリコンプロテーゼを用いるのが一般的であるが、L型プロテーゼでは鼻尖の頂点の位置が頭側にずれることが問題である。私は鼻尖の位置を正確にコントロールするため、鼻背のプロテーゼの下端はsupratipまでとし、鼻尖に対してはそれとは別の物を用いている。鼻尖にわずかなaugmentationを必要とする例では耳介軟骨かPTFEを鼻翼軟骨の中間脚の上にonlayする。鼻柱の延長と鼻尖の頭側移動が必要な例ではcolumella strutを用いる。鼻尖が頭側にずれるのを防ぐ、あるいは、鼻尖を下方へ伸ばしたい時には鼻中隔延長術を用いている。
隆鼻の上端をどこまでにするのかは、下端の位置に劣らず重要である。隆鼻術は鼻背を高くして鼻筋を通すが、鼻根部(nasion)の位置は頭側に移動する。そのため、nasionの位置が低い症例では、鼻筋が頭側に伸びて短鼻が改善される。しかし、nasionの位置が正常か、高い症例では鼻が長くなりすぎる。これに対し、glabella augmentationでは、nasionを尾側に移動する効果がある。glabella augmentationはヒアルロン酸注入による方法が簡便である。永続的な効果を期待する症例に対してはシート状のPTFEを重ねてからトリミングした隆鼻材を用いている。
鼻尖の位置のコントロールとglabella augmentationの術式の詳細と症例結果を供覧する。

顔面骨形成術の教育講演 広比先生の抄録

今日はリッツ美容外科東京院院長の広比利次先生の抄録です。
広比先生には、顔面骨形成術の教育講演をお願いしています。


演者  広比利次
所属  リッツ美容外科東京院
演題名 顔面輪郭形成術における単独・複合手術の適応とpitfall

抄録

【目的】
美容外科で行われる顔面輪郭形成術のうち、骨格手術における代表的な部位としては頬骨・エラ・おとがい等が挙げられる。各部位が単独で目立って突出している場合には、その部位単独で手術を行うことにより当然良い結果が得られる。一方、各部位に目立った突出がなく、漠然と小顔にしたいという要望が多く、この場合には単独手術だけでは目的を達成しないことも多い。さらに一部位が顕著に突出している場合に、関連他部位の突出を見落としやすい(例:おとがいが極端に長いがエラも平均以上に張っている等)ので注意が必要である。顔面輪郭形成術における術前診断での単独・複合手術の適応の重要性、pitfallに関して症例を供覧しながら検討を加える。

【対象・方法】
2000年2月開院以来2007年12月までに当院で行われた1400例を超える輪郭形成術より、単独手術・複合手術の適応に関して検討を加える。同時に、当院における各部位に対する代表的術式も供覧する。

【結果】
頬骨・おとがいの単独手術ではエラとのバランスを十分に考慮する必要がある。代表的な例として頬骨単独で行った場合の“下ぶくれ顔”、おとがい単独で行った場合の“丸顔(太った顔)”等の術後形態の不満が挙げられるが、そのような症例では術前診断にて、シミュレーションを利用してのICが重要となる。但し、シミュレーションでは術後の軟部組織の変化が予測できないため限界がある。

【考察】
美容外科は自費診療ゆえ患者サイドの予算の都合上で、本来であれば複合部位の同時手術が適応であるが、実際には単独手術となることも決して少なくない。その際には優先部位、バランスを考えた改善度合いに留意し、手術計画を立てることが大切である。

下眼瞼形成術のパネルディスカッション 私(水谷和則)の抄録

今日は私の抄録です。
下眼瞼形成術のパネリストを担当させていただきます。

演者  水谷和則
所属  銀座みゆき通り美容外科
演題 1)脂肪注入によるmidface augmentationを併用した経結膜的下眼窩脂肪摘出術
    2)下眼瞼開大術

抄録

1)目の下のクマの改善を希望とする若年~中年患者は下眼瞼皮膚や眼輪筋の弛緩が軽度のため、baggy eyelidsの改善目的に経結膜的下眼窩脂肪摘出術(以下、下眼瞼脱脂術)が行われることが多い。しかしこれら症例の下眼瞼から頬前部にかけての輪郭を観察すると、同年代で目の下のクマ症状がない例と比較して頬前部が低形成あるいは頬前部の軟部組織が下垂し、下眼瞼領域の縦径が拡大している例が珍しくない。こうした状況を無視して画一的に下眼瞼脱脂術を単独で行うと、bagが減少あるいは消失してもnasojugal groove及びpalpebromalar groove(以下、眼頬溝)が残存してクマの改善にはなり得なかったり、頬上部の前方への膨らみが乏しいために若々しい容貌になり得なかったりする場合がある。Hamra法は、突出した眼窩脂肪を摘出せずに眼窩下縁を超えて引き下げ固定することによって、baggy eyelidsと眼頬溝の同時修正を可能にした方法であるが、原法は経皮的アプローチであり、経結膜的に行うには視野が狭い。また経結膜的に行えたとしても、さらにmidfaceの引き上げやaugmentationをしなければ、必ずしも下眼瞼から頬前部にかけての若々しい輪郭は得られない。当院では、目の下のクマの治療はbaggy eyelidsの改善のみならず下眼瞼から頬前部にかけての輪郭形成術であると考え、下眼瞼脱脂術に加えて脂肪注入による眼頬溝を含めたmidfaceのaugmentationを行い、良好な治療結果を得ている。手術手技は容易で短時間、患者が敬遠する顔面皮膚切開も不要である。症例を供覧し手術手技と留意点を解説する。
2)垂れ目気味の大きな目になりたいと希望する若年患者は少なくない。当院ではこうした例に対して、下眼瞼縁外側を引き下げ瞼裂を開大させる手術:下眼瞼開大術を行っている。過大な引き下げは三白眼を引き起こすが、症例を選び適度に施術すると、瞼裂をアーモンド形に形良く開大できる。症例を供覧し手術手技と留意点を解説する。

下眼瞼形成術のパネルディスカッション 高橋金男先生の抄録

今日はドクターゴールドマンクリニック院長の髙橋金男先生の抄録です。
髙橋先生には、下眼瞼形成術のパネリストをお願いしています。


演者  髙橋金男
所属  ドクターゴールドマンクリニック
演題名 下眼瞼除皺術とmidface lift について

抄録  

目的:下眼瞼の老化に伴う変化とは,外眼角靭帯の弛緩によるscleral show,下眼瞼の軟部組織や脂肪萎縮に関連したnasojugal foldやtear trough defomity,lateral orbital depression,さらにこれらに付随して中顔面が下垂し,鼻唇溝が深くなることである。下眼瞼および頬は解剖学的にもつながりのあるものであるから加齢的変化を総合的に判断して施術内容を検討する必要がある。
方法:下眼瞼あるいは中顔面の加齢的変化を伴う種々の症例に対してlower blepharoplasty,lateral canthoplasty,subperiosteal midface lift,deep plane midface lift,brow lift,fat implantation等の手術を単独あるいは幾つか併用して行うことで,下眼瞼の若返り効果を観察した。
結果:下眼瞼内部のみに加齢的変化を認める症例ではcanthoplastyあるいはlower blepharoplasty(transcutaneous or transconjuncitval)によって効果的といえる。しかし,中顔面にも加齢的変化を伴う症例の場合はdeep plane midface liftあるいはsubperiosteal midface lift等,中顔面に対する若返り手術の適用を考慮しないと下眼瞼の若返り効果及び持続効果が不十分である。さらに,症例によってはfat implantationやbrow liftの併用も必要となる。
考察:lateral canthal tendonの弛緩で下眼瞼の加齢的変化が起こり,orbital malar ligamentの張力の減弱によってmalar fat padが下内方に下垂することでcheek depressionが起こる。また,下眼瞼はorbital malar ligamentによって頬と連結している。したがって,cheek depressionを伴う場合はmidface liftによってcheek supportをすることで下眼瞼の加齢的変化をより効果的に改善できると考える。

特別講演 谷野隆三郎先生の抄録

本日は、特別講演をお願いしております、谷野隆三郎先生の抄録です。


演者  谷野隆三郎 
所属  東海大学医学部非常勤教授
演題  美容外科にとって必要な医療安全と医事法制

抄録

 美容外科においては多くの場合、健康な患者が医療の対象となる。従って、通常の医療に比べより安全性と患者の自己決定権が求められることは当然である。今回はとくに美容外科に関係した医療安全と法律について概略を述べる。
 美容外科に関係した医療事故防止については、アレルギーやアナフィラキシー、薬剤のとり違い、肺動脈血栓塞栓症などが問題となる。
 また美容外科に関係した法律では、医師法においては「医師免許」の問題の他、「医師の応招義務」、「無診察治療等の禁止」、「異状死体等の届出義務」、「処方せんの交付義務」、「診療録の記載及び保存」、「転医義務」、「秘密保持義務」などが、医療法においては「医師の責務(インフォームドコンセントと患者の自己決定権)」、「医業等に関する広告制限」などが問題となる。そして薬事関連においては、薬剤管理麻薬および向精神薬取締法などによる薬剤管理が問題となる。その他、医療事故、医療紛争においては、民法や刑法なども関係してくるので、われわれはこれらの法律について心得ておく必要がある。

上眼瞼形成術のパネルディスカッション 一瀬先生の抄録

今日は神戸大学附属病院美容外科の一瀬晃洋先生の抄録です。
一瀬先生には、上眼瞼形成術のパネリストをお願いしています。


演者  一瀬晃洋
所属  神戸大学附属病院美容外科
演題名 上眼瞼形成術における組織量調節の基本方針

抄録

【目的】
上眼瞼形成術において整容的・機能的に高い患者の満足を得るには、皮膚切開の位置や皮膚の切除量のみならず、適切な軟部組織量の調節や牽引を行うことが必要である。われわれが行う組織量調節の基本方針を報告する。
【方法】
上眼瞼の形成術の術式決定にあたり、われわれが検討する術式(事項)は以下の如くである。
1.アプローチ
 全切開法、小切開法、経結膜法、睫毛縁切開法、眉毛下切開法
2.皮膚切除量(長さ・幅)の決定
3.軟部組織の調節
・減量
眼輪筋、眼窩中央・内側脂肪、瞼板前組織、中隔前脂肪、ROOF(retro-orbicularis oculus fat)、肥大涙腺など
・増量
脂肪注入、脂肪移植
4.重瞼作成・修正法
5.眼瞼腱膜の調節
6.眉毛下降への対策
眉毛挙上、眉毛固定術、眉毛外側(こめかみ)挙上術、眉毛下制筋群切除
7.眼瞼緊張亢進症の対策
【結果】
上眼瞼形成術を希望する患者に対して、上記の術式が、単独もしくは複数の組み合わせで、一期的または二期的に施行された。
【考察】
上眼瞼除皺術を行う場合には、対象患者の眼瞼および周囲の解剖的形態の評価を十分に行い、患者の希望を考慮して術式の検討を行う。適切な術式の決定には、現在の眼瞼の形態のみならず、眼瞼形成術後の上眼瞼周囲における形態の変化を予測して対策を行うことが重要である。組織の余剰に対しては、上方への挙上や組織量の調節を行う必要がある。組織量の調節にあたっては、眼瞼全体において余剰の原因部位の検索を行い調節する部位や量を検討すべきで、過剰の皮膚切除は慎むべきである。一般に皮膚や軟部組織の過剰切除の修正は容易ではない。

会長講演 水谷和則(私)の抄録

今日は私の抄録(会長講演)です。

演者  水谷和則
所属  銀座みゆき通り美容外科
演題  オーダーメイドプロテーゼの重要性について

抄録

インプラントによる隆鼻術や下顎整容術を行う場合、加工済みのシリコンプロテーゼを何種類か在庫して、そのいずれかをそのまま、あるいは勘で削って調整し挿入する術者が少なくないと思われるが、それがどのように埋入したのか内部の状態(埋入位置や骨格とのフィッティングなど)を確認したことがあるだろうか。プロテーゼ挿入術の結果判断は内部の状態ではなく、皮膚軟部組織に覆われた外観で評価することは言うまでもないが、外観がおおよそ問題なければ、プロテーゼの埋入状態は無視しても良いのだろうか。またプロテーゼの形や埋入状態が適切でない場合、それが外観にどのような影響を及ぼすのかを考慮して手術に臨んでいるだろうか。
人の顔は千差万別、顔の骨格としての頭蓋骨や軟骨部分の輪郭もすべて個々人固有のものである。また骨格は皮膚軟部組織で覆われているので、外観から正確にその輪郭を把握するのは困難である。それゆえ私は約10年前より鼻や下顎のプロテーゼ挿入術を行う際、手術前後に頭部側面のX線撮影を行っている。設定条件により頭蓋骨や皮膚軟部組織、プロテーゼの輪郭を1枚のX線写真に写し込むことができ、術前計画と術後評価を行う際に有用であるが、既にプロテーゼが挿入された状態で来院した症例を撮影すると様々な問題点を発見することが珍しくない。例えばプロテーゼの裏面が鼻骨にフィットせずブリッジあるいは浮遊状態、プロテーゼの輪郭が浮き出るほどの浅い皮下挿入、断端が皮下に突出、L型の角と鼻尖の不一致、鼻翼軟骨間への沈み込み、鼻尖部皮膚の非薄化、プロテーゼによる不自然な高さの鼻根部やpolly beak、下顎においては下顎下端より上方でのプロテーゼ埋入、骨吸収など枚挙にいとまがない。
こうした観点から、異物であるプロテーゼを安全かつ的確に挿入し、患者の希望する鼻や下顎に形成するために重要なことは、プロテーゼ裏面が鼻や下顎の骨格(骨、軟骨)にジャストフィットする形であり、挿入手術後の鼻や下顎の形態が自然かつ患者の希望に沿うように厚みや太さ、辺縁断端部を緻密に作成することであると考え、X線撮影を元にプロテーゼを個別にデザインし、シリコンブロックから作成している。また鼻の場合、将来的に鼻尖に変化が生じる恐れがないI型(ボート型)を主体とし、必要に応じて鼻尖形成や軟骨移植、鼻中隔延長などを組み合わせて鼻尖の形態や位置を調節している。手術に際しては、鼻骨骨膜下に過不足無いポケットを作成するのは当然として、外側鼻軟骨や鼻翼軟骨レベルにおいても軟骨直上の層で正中を剥離しプロテーゼを挿入している。下顎ではプロテーゼ挿入予定位置の上端付近より骨膜下に進入して下顎骨下端を越えるまで直視下に剥離し、プロテーゼ裏面を下顎骨下端の形状に適合させ上方移動しないように挿入している。
正確に形成したプロテーゼを予定位置に挿入した場合、プロテーゼは挿入直後から鼻や下顎の骨格に貼り付くようにフィットしてほとんどずれ動くことがないので、テーピングなどの術後固定は、プロテーゼ移動の予防ではなく、患部の安静目的で行っている。
本講演では、X線画像による症例検討とプロテーゼのデザインや作成法、基本手術手技や修正手術などについて述べる。

下眼瞼形成術のパネルディスカッション 木村先生の抄録

今日は美容外科・ヤスミクリニック院長の木村知史先生の抄録です。
木村先生には、下眼瞼形成術のパネリストをお願いしています。

   
演者  木村知史
所属  美容外科・ヤスミクリニック
演題名  ケーブルスーチャーを併用した下眼瞼除皺術

抄録 

下眼瞼除皺術では下眼瞼睫毛下縁を切開し、skin flapとmuscle flapの挙上を行う方法が広く行われるが、これは吊上げであるためnasojugal fold (眼頬溝)の改善効果は限られ、鼻唇溝(nasolabial fold)はほとんど改善しない。またskin flapとmuscle flapの挙上の方向が異なるため皮膚の歪み回避のためskin flapでは広めに皮下?離しなければならず、これは術後の腫脹や皮下出血斑の原因となる。
当院では近年muscle flapの挙上の代わりにケーブルスーチャーを行い上述の改善を図っている。この下眼瞼除皺術にケーブルスーチャーを組合わせる方法は鈴木や出口が既に発表しているが、両者ともmaler fatに掛けた糸を真上に引き上げ眼窩縁の6時の位置で骨膜に掛けている。しかし当院では眼窩縁骨膜の外眼角部に掛ける。この方がより少ない?離で行えると伴にnasojugal foldに直角に近く引っ張れる利点がある。しかし鈴木の指摘のように外眼角部方向に引っ張るのではnasojugal foldの内側の改善が乏しいため、当院では脱脂した眼窩脂肪を同部に経皮的に注入している。眼窩脂肪を眼輪筋下で下方移動させるより簡便、正確で、幸いこの部の脂肪注入は定着率が良いため、経結膜法脱脂の際でも脱脂脂肪をnasojugal foldに注入しているが成績が良い。
下眼瞼除皺術適応の患者は、下眼瞼だけでなく加齢に伴う頬骨前面の下垂の改善を望んでいることが多く、Mid face liftも図れるケーブルスチャーを併用したこの手術は侵襲も少なく有用性が高い。